サイエンスカフェ オリオン 活動記録 2020

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第67回 2020年2月23日

第67回「ベテルギウスと超新星爆発」 
山岡均さん(国立天文台 広報室長) のお話 
自己紹介と小惑星「王貞治」命名のエピソード、現在のお仕事の紹介、サイエンスパブin福岡のお話の後、本題に入り、 オリオン座のα星ベテルギウスは、大きさが木星軌道程度ありハッブル望遠鏡で面で見え、赤く死にかけている星である。 2012年爆発するというオカルト的な話が起こり、それを打ち消す記事を月刊誌に書いたこと、 ベテルギウスは変光星であり最近は0.6等から1.6等程度まで減光している、VLTの観測では表面に「もんもん」がある、 赤外線で見るとガスが出ていて丸くない、中心の変化が光で表面に伝わるには数万年かかるので表面を見ていてもわからない、 中心で酸素が核反応してから超新星爆発するまでには1万年かからないので表面まで情報が伝わらない、力学的変化は音速で伝わる、 また、超新星の見つけ方としては銀河の写真を「間違い探し」でチェックしているとのお話の後、 明月記の原典を確認すると、1054年のかに星雲の超新星の記述は天文係のメモを貼り付けたもので定家の記述ではないとの お話がありました。 次に、星の一生として、質量が大きいと寿命が短く(太陽の20倍の星は寿命は1/1000)小さいと長い(太陽の半分の星は1000億年)、 重い星の一生は、中心部で水素がなくなりヘリウムだけになると核反応できなくなりつぶれて温度が高くなる、1億5千万度位に なるとヘリウムが核融合して炭素・酸素ができる、ヘリウムがなくなるとつぶれ10億度位になると酸素と炭素が核反応して 酸素やネオンやマグネシウムができる、炭素がなくなるとつぶれて酸素やネオンやの核反応でケイ素と硫黄ができる、 酸素やネオンがなくなるとつぶれてケイ素と硫黄の核反応で鉄ができるが鉄はこれ以上エネルギーを出せず中心核がつぶれ 重力崩壊型超新星になる、ケイ素と硫黄の核反応から1日位で中心は中性子星かブラックホールができる、周囲は超高速(数千km毎秒) の膨張ガス(超新星残骸)ができる。 ベテルギウスが爆発したら、中心の衝撃は音速で伝わるので表面に届くのに3日かかる、中心で発生したニュートリノは光速で伝わり ニュートリノ検出器が検出、明るさは-10等(半月)位、昼でも見えるのは半年くらい、夜肉眼で見えるのは2-3年、ガンマ線バーストは 起きない、X線の影響は太陽フレア程度、との説明がありました。 次にもう一つの超新星爆発として、隣の星からガスが降ってくる白色矮星で、降ってくるガスの量により、表面爆発する場合は 新星だが限界質量で全体が爆発する場合は核爆発型超新星、これは同じ重さで爆発と期待され距離を測る標準光源(近傍の二つの 超新星で検証)になる、減光の傾きを見て早く減光するものは暗いという法則から距離測定に道が開けハップル定数の測定ができ (山岡さんの博士論文)、遠い銀河で超新星を見つけることで宇宙の広がり方の変化を見て宇宙膨張の加速を見つけた(2011年 ノーベル賞)。 まとめとして、星の一生は質量別で重いと寿命が短くなる、超新星は星の大爆発で爆発が近い星もあるがいつ爆発するかはわからない、 爆発してもそんなに影響はない、爆発のメカニズムは二つ(重力崩壊型と核爆発型)ある、爆発が近い星として、さそり座アンタレス、 りゅうこつ座イータ星もある。
多くの質問が出てユーモアも交えた楽しいお話でした。  参加24名

第66回 2020年1月26日

第66回「 生まれたての星の周囲に惑星を作る 〜 惑星形成研究最前線  」 
武藤 恭之 さん(工学院大学准教授)) のお話 
まず、惑星とは何かというお話に続き1995年の系外惑星の発見とノーベル賞の受賞、現在までの発見数とケプラー宇宙望遠鏡、 次の宇宙望遠鏡TESS、発見された系外惑星の様々な姿を軌道周期と大きさをプロットした図などの説明。 次に、これらの多様な惑星がどのようにできたのか、ということで星の形成の説明になり、星の生まれる場所として オリオン大星雲のようなガスが密集しているところで自分の重みでつぶれ星ができる。その周りに円盤ができその中で惑星ができる (原始惑星系円盤)、ガスのほとんどは星になり惑星になるのはわずか、そして星の形成にかかる時間は数十万年から百万年、 これは星の一生に対しては一瞬、この一瞬で原始惑星系円盤から惑星形成ができるのか、というのが研究テーマとのお話でした。 
次に惑星形成のシナリオとして、生まれたての星の周囲の円盤の中の塵が集まり惑星になる、塵がどのように集まるのか、 塵・惑星と円盤の相互作用は?、ダストから微惑星への計算機シミュレーション、微惑星から惑星へのシミュレーション、 原始惑星同士の衝突シミュレーションから太陽系のような惑星ができるあらましを紹介、これらは想像の世界なので現場を見たい、 これを実現したALMA望遠鏡で撮った円盤の写真(おうし座HL星)、太陽と似たような2重リング構造の写真、 多様な円盤構造を示すいろいろな星の写真を紹介、リング構造の起源を調べるために惑星があれば溝ができるという シミュレーションによる軌道半径と質量の分布は観測された系外惑星の分布とは一応整合的、ただしALMAの円盤と 発見される系外惑星では軌道半径がうまく合わないが観測技術の向上で重なってくる、VLTで撮影したリングの内側の惑星の写真、 円盤サーベイ観測では軽くて小さな円盤が多い、などのお話があり、最後に系外惑星はたくさん見つかってきて形成の シナリオは想像はてきている、観測では小さな円盤も見つかって本当に惑星が作れるのか、ということもあるがこれも ALMAの成果であり、今後新しい観測に基づいてより現実な姿を想像していくのが課題とのお話でした。 参加者からの質問もとても多く大変興味深いお話でした。  参加17名

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